まえがき
本書は、嫌だなと感じる人の性格が微笑ましいと思えるようになり、そういう性格をひそかに楽しむことができる自分に変えてくれます。
世の中は、嫌な性格の人で満ち溢れています。
がみがみあたり散らす人。やたら調子がいい人。長々と自慢話をする人。お高くとまっている人。これみよがしに皮肉を言う人。他人の顔色をうかがう人。やりっぱなしで平気な人。大声で抑えつけようとする人。はっきり言わずイライラさせる人。数え上げればいくらでも出てきそうです。
私は人づきあい下手でした。自分の気持ちを上手に隠して嫌な人とつきあうことは苦痛でした。今でもその本質は変わりませんが、変わったのは、嫌だと思う人が少なくなったことです。
人の性格についてよく知らなかった頃は、嫌な人だと思い込んでいました。しかし、性格が人間性の根源と結びついていることが分かってくるにつれて、苦手な人イコール嫌な人というパターンに陥ることもなくなりました。
きっかけは、エニアグラムという新しい心理学・人間学に出会ったことでした。エニアグラムを通して性格の根源を知ったことにより、苦手な人でも、その人の存在をそのまま認めることができるようになりました。
そういう人のすること、言うことが、はっきり予測でき、見え過ぎるくらいにはっきり見えるため、思わず笑いがこぼれそうになります。その人の反応に、なんとも言えない滑稽さを感じてしまうのです。嫌だと思っていた人が、微笑ましくなり、その人とのつきあいをひそかに楽しんでいる自分を発見するのは驚きです。
本書をお読みになる方が、そんな楽しみを見つけ出して下されば、著者として望外の喜びです。
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