認知症になって陽気になった母

母は認知症になってから陽気になりました。
よく笑うようになり、歌も歌うようになりました。

以前から誰とでも世間話ができ、区報を見ては様々な会にも参加する社交性はありましたが、歌は絶対に歌いませんでした。

認知症にも様々な症状があり、鬱になったり、狂暴になったりと言われていますが、母の場合は明るくなったのです。

また、家にひとりで居るより外に出て大勢の人の中に入っていくことが好きなので、週4日もデイケアに通っていました。喜んで通ってくれるので家族もとても助かっていました。

認知症が進んでからは、歌をよく歌うようになりました。

夜中、母はトイレに起きると「夕焼け小焼けで日が暮れて~」と大きな声で歌いながら歩きます。すると2階で寝ている私たち家族は気づき、起きていってトイレの介助をします。それが、一晩に2回、3回と続きます。

今思えば、歌は母にとってコミュニケーションの手段だったのかもしれません。歌を歌って起きたことを知らせてくれていたのかもしれません。

妹は、母のために子供用の「童謡絵本」を買ってきました。
童謡の歌詞が絵本になっていて、ボタンを押すとメロディーや歌が流れてきます。それを使って母と一緒によく歌を歌いました。

また、鎌田實さんの「いいかげんがいい」という本を母に渡したら、よく読んでくれていました。本当に読んでいたかは分かりませんが、中に「しおり」を入れ、ボロボロになるまで身近に置いていました。

認知症になってできなくなることも多いですが、母の世話をするうちに、そんな母の一面を見ることができ、愛おしく思いました。

そしていつしか、母子が逆転して、娘である私たちは母のことを「〇〇さん」と名前で呼ぶようになりました。

母が認知症になってからは家族の形も変わってきます。そんな状況を受け入れ仲良く暮らせればお互い幸せなんだと思います。

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